iOSスーパーアプリ「Minglo」 – ウェルビーイング &転職支援機能

このアプリは、ユーザーの日常生活やキャリアをサポートすることを目的とした、iOS向けのスーパーアプリです。気分記録やメンタルヘルス管理を行う「ウェルビーイング」モジュール、AIエージェントによる求人提案を通じて転職活動を支援する「転職支援」モジュールなど、多機能を統合して提供しています。主なターゲットはベトナムを含む東南アジア圏で、将来的にはグローバル展開も想定されています。また転職支援は、IT業界のエンジニア色に絞っています。

※スーパーアプリ:複数の機能やサービス(モジュール)をひとつのモバイルアプリ内に統合したアプリ。

担当

PO:1名、
PM:1名、 PMO:1名、
UX/UIデザイナー:2名(本人含む)、
エンジニア:3名

使用ツール

Figma、Figjam、Nota、Slack

期間

2023/07 - 2024/07(1年1ヶ月)

タグ

b2c 、iOSアプリ

プロジェクト概要

株式会社アトラエより受託し、フルリモートで「Minglo」のUIデザイン業務に従事しました。プロジェクトメンバーの多くはベトナム人で構成され、業務上の共通言語は英語でした。本アプリは英語とベトナム語の2言語に対応しており、英語UIをベースにデザインを進行後、別担当によりベトナム語に翻訳される体制でした。すでにコンセプトや機能要件が定められている状態からスタートし、担当セクションのUIをFigmaで設計。指定されたコンポーネントやトーン&マナーに従いながら、ウェルビーイングおよび仕事探しに関する複数画面を制作しました。承認後は、ボタン挙動や遷移などの仕様を英語で整理し、エンジニアに向けた画面仕様書(Nota)として提供しました。

担当範囲
  • 担当セクションの要件をもとに、ワイヤーフレーム(未保存)とモックアップを作成。

  • 画面遷移やボタン挙動などの仕様を英語でNotaにまとめ、エンジニアに共有。

  • 指定のUIコンポーネントやトーン&マナーに沿ってデザイン制作。

担当画面例

①感情診断(ウェルビーイング)

※一部省略して掲載しています。

概要

ウェルビーイングモジュールにログインすると、毎日の感情を記録するための診断画面が表示されます。ユーザーが感情を直感的に選べるよう、色やアイコンといった視覚的要素を活用し、プルチックの感情の輪や関連研究を参考に設計しました。

工夫した点

ユーザーが毎日無理なく記録を続けられるよう、操作はシンプルなフローに設計し、楽しく習慣化できるようなトーンを意識。既存のブランディングトーンを維持しつつ、機能性とのバランスに配慮したデザインとしています。

②感情診断概要(スーパーアプリ)

概要

日々の感情記録が蓄積されると、スーパーアプリ内でその履歴をもとに「スコアの推移比較」「センチメントトレンド」を可視化できる画面です。

工夫した点

文字情報が過多に見えないよう、スコアや傾向の変化が直感的に理解できるように、グラフ、チャート、アイコンを積極的に活用しました。主要指標の視認性や階層構造にも配慮し、一目で情報を把握できる構成にしています。Emotion Mappingは、プルチックの感情の輪からインスピレーションを受けました。

③ダイナミックツアー(ウェルビーイング)

概要

ウェルビーイングモジュールの初回利用時に表示される、チュートリアル用オンボーディング画面です。
この画面は既存のデザインの一部として開発されており、チュートリアル部分のみを担当しました。

工夫した点

もともとは複数ステップ構成でしたが、開発工数の削減と離脱防止を目的に、最小限のステップへと再構成しました。ユーザーがストレスなく理解できるよう、シンプルな文章や分かりやすい言葉選び、画面遷移のテンポに配慮し、シンプルでスムーズな導線設計を心がけました。

④希望条件の登録(転職支援)

概要

転職支援モジュールにおいて、ユーザーが希望する職種、勤務地、給与などを登録するフローを設計しました。

工夫した点

多国籍ユーザーを想定し、各国の価値観や雇用条件の違いに対応できるよう、項目の内容や入力形式を柔軟に設計しています。
特に価値観に関わる部分は、リサーチを行い、チームメンバーからも意見を集めながら調整しました。

⑤MY AI(転職支援)

概要

ユーザーは、自身のキャリア傾向や希望条件に基づいてパラメーターを設定し、AIキャリアアドバイザーを生成できます。生成されたアドバイザーはプロフィールとして表示され、チャット形式でキャリアに関する相談が可能です。

工夫した点

登録項目が多いため、入力の負荷を軽減するよう、基本的には選択式UIを中心に設計しました。また、迷いや誤入力を防ぐために補足ヒントも適宜表示し、スムーズに設定を完了できるよう工夫しています。

振り返り

本プロジェクトは、デザイナーとしての初めての実務経験でした。
要件がテキストベースで伝えられる中、POやPMの頭の中にあるイメージを正しく汲み取る難しさを実感しました。そのため、なるべく早い段階で方向性をすり合わせることを意識し、複数パターンのローファイワイヤーフレームを作成して共有することで、認識のズレを減らし、スムーズなコミュニケーションを図りました。

また、UIの引き出しの少なさを実感したことで、既存サービスの構造や動き方を意識して観察・記録する習慣を意識的に取り入れるようになりました。今後も、日常生活や実務の中で引き出しと提案力を磨き、よりよい体験設計を目指していきます。